[新版]アフターショック―――変化の時代の「痛み」を解決する知恵
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「アフターショック 第7章 危機的状況の人を助ける」のまとめです。

調停:解決するとか責任を持つとか言うことでは無く、話しかけ耳を傾ける時間を取り、間に入って緩和すること。
修正:誤った姿勢が極端にならないように、ひどくなりすぎたり強くなりすぎたりしないように新しい方向を指し示すこと

変化に反発していたり、困難を覚えている人に対応するには、「調停」と「困難」の目的と順序を思い起こす必要があります。

CSEサポートシステムでは、耳を傾けることと明確化することに力を入れ、何かを主張するよりも何かを発見することに力点を置いています。
そして最後に取るべき行動に焦点を合わせ、話し合いが単なる儀礼的なアイディア交換に終わらないようにします。
CSEサポートシステムは、変化に遭遇した人を手助けする一般的なアプローチで、「調停に立つ」に見合う働きをします。

言葉を換えれば、CSEサポートシステムは少なくとも直接には終結期に直面した人の感情が極端に走ったり、ひどくなりすぎたり、強くなりすぎたりしないようにする助けにはなりません。「修正戦略」によって補う必要があります。
変化に対する四つの反応――無関心、自己喪失、方位喪失、憤慨――にCSEサポートシステムを、適応させていくことにします。

  • 方位喪失に対しては――説明し、計画させる
  • 無関心に対しては――直視させ、確認させる
  • 憤慨に対しては――中立化し、承認させる
  • 自己喪失に対しては――検討し、移行させる

説明し、計画させる――方位喪失に陥った人を助ける

方位喪失に陥った人は情報と方向性、戦略を欲しがります。これらが無ければあれこれ思い悩み、実際には有り得ないようなシナリオを作り上げてしまいます。
彼らの抱いている曖昧な意識が悪化しないように修正するためには説明をしなければなりません。
単に情報を与えるだけではなく、情報の断片をまとめるフレームワークを提供するためにより広いコンテキスト――目標やビジョン――が必要です。
これで計画――一連のステップ――を作ることが出来ます。

変化の最中ではあまり先のステップまでは読めませんし、戦略を細かいところまで作り上げることは出来ません。
大切なのは秩序を作り出すことで具体性はそれほど重要ではありません。

方向性を喪失すると、人びとは重要度の低いことを知ろうとします。「いかに」ではなく「何を」を知ろうとして手探りを始めます。
説明し、計画することで「何を」と「いかに」の両方を明確にする手助けが出来ます。

  • 情報を与える
  • 詳細に説明出来るように準備しておく
  • 枠組みを提供する。目標・概観
  • ありふれた質問の背後におそらく何か悩みがあることを認識しておく
  • 全ての心配事を処理するために必要な時間と努力を惜しまないことを表明する
  • 計画あるいは戦略を構築する
  • 相手が優先順位を決定出来るように手助けする

直視させ、確認させる――無関心に陥った人を助ける

無関心に対する基本的戦略は本人の行動を直視させることです。そうすることで相手から話を引き出し処理すべき問題を確認します。
無関心な人に行動を直視させるには幾つかの方法が有ります。
相手は誰かに話したくても話せなかったのかも知れません。
こうした方法を適切に使って、無関心状態の人をその殻から押し出すことが出来れば、相手はあなたからの働きかけを喜ぶでしょう。
相手が話すことを厭わなくなれば、問題を確認する段階に進むことが出来ます。

率直に話す

相手がこちらを信頼してくれている場合は、ごく単純に次のように言うことで問題が処理出来るかも知れません。
「正直に話してくれませんか」「何か胸につかえていることがあるようですが一体どうしたんですか」

安全を保証する

実際には話したいと思っている人は多いものです。
話しても大丈夫だという保証、あとで責任を問われるようなことがないという保証が欲しいのです。
「この変化のおかげで多くの人が苦労しているようです。そのことについて話し合いたいです。ここで話すことは口外しませんので何でも自由に話しませんか」

行動の変化を指摘する

無関心な人は自分の行動の変化に気付いていないことが多いです。
以前の行動と現在の行動の違い、あるいは言葉と行動との違いを簡単に指摘します。
「最近、君が以前より無口になりよそよそしくなったと思うんです。どうも私が知っている今までの君と違っているように思うのですが」
「何も問題ないと君は言うけれども、最近あまり顔を見せないし、表情もパッとしない。どうも何かが起こっているように思うのですが」

私から始まる話し方をする

変化の対する反応について人に語るときには「私」で始まる話し方をし、「君」で始まる話し方をしてはいけません。
私で始まる話し方を使うと、人と話しているとき、「相手」の行為や感情にではなく、「私」の気持ちや理解に確実に焦点を合わせることが出来ます。
一般に「私」は私のことを一番知っており、「君」は君のことを一番よく知っています。
私が相手の気持ちを決めつけたり相手がそうする理由を推測するようになるとコミュニケーションが破綻します。

相手から話を引き出したいのなら、価値判断を超えた中立の立場に立っていることを示すことが大切です。
そのことによって相手は気持ちよく、脅威を感じることなく自分を表現することが出来ます。

  • 無関心に陥っている人たちは、身を引き、他人を避けているのでこちらからまず相手に近付いていかなければならない
  • 話を引き出し、相手が自分の感情をはっきり表せるように手助けする
  • 安全で有ると言う感じが得られれば、問題は明らかになっていく
  • 「私」で始まる言い方を用いる
  • 相手を理解しようと言う心構えを持ち、とにかく相手に耳を傾ける
  • 無関心な人が急に何かに打ち込み始めるなど期待しないこと。離脱意識から抜け出て、何かをやるレベルへと変わることを期待するだけでも大変苦労をするもの

中立化し、承認させる――憤慨している人を助ける

憤慨している人は失うことに反発しており、はけ口が無い限り怒りは積もる一方で、ついにはさまざまな否定的な行動を取るようになります。
この状態の人と話したり議論したりすることはほぼ不可能です。まず相手を不穏な状態から中立の状態へ戻すことです。

それを実現する最善の方法は、安心感の持てる状況を作り出し、溜まっているものを吐き出しやすくすることです。

いったん全てを吐き出してしまうと、人は急に自分のしたことに気付き、困惑するかも知れません。
憤激していた人は、自分自身に対しても、他の人びとに対しても、どれほどイライラしていたかに気付くことになるでしょう。
そう気付いた人には、そのことを認められることが必要です。
あなたはずいぶんと怒っていたけれども、自分はそのことを根に持ったりしない。あなたの反応は正常なことだと認めます。
「心配するな。君の立場に居れば誰だって同じように感じるさ。そう感じるのが普通だと思うよ」

  • 憤慨は外に出される怒りと内にこもる怒りの二通りの形を取る
  • 相手の心に有るものを吐き出させるのが最初のステップ
  • 中立化するとは、その感情に向き合い、溜まっているものを吐き出させること
  • 承認するとは、必ずしも同意することではなく、相手の反応を正常だと認めること

検討し、移行させる――自己喪失に陥った人を助ける

自己喪失に陥っている人は、自分の場所がなくなったと感じています。
アイデンティティの対象が奪い取られてしまい、喪失感に襲われているのです。
奪い取られたものは、仕事かも知れませんし、能力を発揮する機会、地位、チーム、場所、上司、将来の道、時には道具や機械かもしれません。

失うことに対する反発は非常に強く、自己喪失は憤慨を伴うことが多いです。
自己喪失は外面的な物や人、場所の喪失以上のものです。
失われたものが何であれ、相手はその中に安らぎを感じていたのです。

この愛着のために組織における自己喪失にはしばしば硬直さ――形態に対する愛着と犠牲になることへの殉教者意識――を伴います。
論理的で専門的な言葉使いで反対意見を述べ立てていても、本当に引っ掛かっているのは感情的なことなのです。
問題は、自己喪失に陥っている人には、その違いが見えないと言うことです。

教えたり論証しようとすると勝ち目のない議論になります。
相手が自分で真実と偽りの違いに気付き、理に適った論議と感情論の違いを発見出来るように手助けすることが必要です。

自己喪失に対する戦略の鍵は検討と移行です。
実行出来そうなアイディアを幾つか考え出し、新しいシステムへの橋渡しとするためにそのアイディアを実行することです。
しかし、その話がどれだけ論理的であっても、自己喪失している人にそれを伝えるだけでは良い結果は得られません。
本人が自分のためにそれを検討する必要があります。この検討プロセスの目的は形態から感情を引き離すことです。

喪失感について話すことによって以前のシステムの中で何が自分にとって最も重要であったかを確認出来ることがあります。
この話し合いによって、不安が恐れへと変わります。
感情と形態が分離可能であることに気付けば、重要だと思うことをどうすれば新しいシステムの中で提供出来るか話し合うことで、新しい形態が同じ感情を生み出すことの可能性が開かれます。

  • 自己喪失している人は、ある特定の形態に対してだけではなく、生活の仕方やそれによって生み出される感情にも強く自分を結びつけて考える傾向が有る
  • 憤慨はしばしば自己喪失を伴っている
  • 検討することにより、形態と感情は切り離せるものであることを理解出来るように助ける
  • 検討においては、こちらの意見を述べ立てるよりも質問を投げかける方が上手くいく
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