[新版]アフターショック―――変化の時代の「痛み」を解決する知恵
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「アフターショック 第3章 変化の3段階」のまとめです。

ウィリアム・ブリッジスは、個人の遭遇する変化の三つの局面を提示しています。
最初にくる「終結期」、中立地帯を通る「過渡期」、そして「新生期」です。
変化に順応し、前進するために、克服しなければならない心理的課題が各段階にあります。

終結期では「切り離す」ことが必要だとブリッジスは説いています。

ブリッジスの言う中間地帯(過渡期)は非生産的な活動停止時間だと見なされるかも知れません。
しかし、この時期は「個人が古いものを完全に終わらせ、新しい行動パターンを見つけるための方向付けの時期」です。
何が終わり、何が始まりつつあるのかを自覚するように求める時期です。
仲間の援助が必要な時期であり、仲間に援助を与える必要がある時期です。

大きな移行期は人の心に積極的な感情と否定的な感情を同時に引き起こします。
恐れと希望、不安と安堵、プレッシャーと刺激、古いものとの決別と新しい方向の受容、意味の喪失と新しい意味の獲得、自尊心への脅威と新しい自己の価値への目覚め。
この中立地帯をあまりにも急いで駆け抜けると、古いものが終わらず、新しい始まりも適切なものになりません。

そして新生期に突入すると、新たな始まりの問題に直面します。
この時点で職場や仲間と共通の目的やビジョンに自分を合わせなければなりません。

古いものへの愛着を断ち切る――終結期

「終結期=喪失」と考えられています。

第一に「仕事の喪失」です。
古い仕事が無くなり、これまでの専門知識は不要になり、やりたくもない仕事をしなければならなくなったと感じます。

次に「人間関係の喪失」です。
意気投合していた同僚のグループや職場を失ったという思いは大きいものです。

第三に「馴染んできた方法や手順の喪失」です。
自分の肩書きにそぐわない仕事をすることになった。仕事を変えられて能力が低下した。自分は未熟でもう役に立たない。と言った感情を持ちます。

変化が訪れると古い快適なものが完全に終わり、新しいものが始まると感じます。
しかし、実際には「仕事の幅が広がった」だけなのに、仕事の「全てが」変わったと感じてしまうことがほとんどです。
ある調査によると、人は仕事の15~20パーセントが変わると「全てが変わったと感じる」ことが分かっています。

感情的な度を超えた手荷物

もしこれらの感情(なかなか消えない怒り、憤り、混乱、困惑、退行)が処置されないままに「感情的な度を超えた手荷物」として持ち越されれば、移行期や新生期のプロセスの妨げになります。
このようなケースでは、変化に遭遇した最初の反応が、ほとんど最大限のレベルで持続します。
最初の反応が弱ってくると、不従順、受動的攻撃性、反社会的態度と言った巧妙な形に姿を変えて現れます。
「感情的な度を超えた手荷物」とは、親しんできた仕事や人間関係、仕事の方法や手順に固執し、新しい状況の中でそれを継続させることです。

頭で理解出来ても心が受け入れない

何かを理解出来たからと言って、それを受け入れたことにはなりません。
ところが頭で理解出来たことは気持ちの面でも受容出来たと言うことだと自分に思い込ませようとする人は多いものです。
だからなぜ自分が未だに混乱を感じているのかが理解出来ません。彼の免疫系がそれと戦っているのです。

私たちの感情は、たびたび思考のプロセスとは独立して働きます。
感情の抑制は、もっと生産的に用いられたであろうエネルギーを消耗させます。

頭で受け入れることと感情を抑え込むことの違いを理解することは、変化のプロセス全般を通じて大切なことです。
現代の文化は、思考し、論理立て、推理し「頭で理解出来れば行うことが出来る」と教えます。
しかし、抑圧された感情を取り扱うことはあまり教えません。この感情の抑圧こそ、変化のプロセスにおける最大の問題です。

変化のプロセスで最悪なのは、人びとが自分の感情を隠してしまうことです。
不快感を隠したい。本当のことを話せない。自分で本当の気持ちに気付いていないということさえあります。
人は自分の感情を社会的に受け入れられやすい知的で技術的な言葉に言い換えてしまいがちです。
これを技術的な問題として対応すると、それを解決しても別の「技術的反論」が燃え上がります。
このような人びとから語られた「技術的反論」をその中心にある「感情的内容」に解釈し直す必要があります。

人はしばしば深い感情の動きを経験します。しかし、それを理解しようとはしません。
だからこそ、失われたものをはっきり認識することは、終わりの段階に至る鍵です。
それが出来て始めて、人は自分がしがみついていたものを認め、手を離して前に進むことが出来ます。

過去からの良いものを未来に持ち込む――過渡期

過渡期とは手離しと進行のプロセスです。手を離すだけでも難しい。次に手を掴むものが無かったり、目指すべき目標がなければ、難しさは倍になります。

過渡期は、未来を良いものとしてみると言うより、過去から来た良いものを未来に持ち込む時期です。
過去を繰り返すことは出来ませんが、過去に有ったことを活かしたり、それを関連付けることは出来ます。
捨て去るしかないと思えた技術も過去から未来への架け橋になるかも知れません。
過去の強みを現在に活かして新しいアイデンティティを発見し、それを強めていくことが出来ることは多いものです。

仕事や生活が100%終わり、その後で100%新しい仕事や生活が始まることではありません。
終わるのは15%ないし25%で、残された85%ないし75%で新しい状況との関係を作らなければなりません。
厳しい再訓練、数々の試行錯誤、組織替え、不安定感が伴います。新しい状況に馴染むのに何年も掛かります。
その道がどこに繋がるのか正しい道なのかは誰にも分かりません。ある方向を目指し、移動し、必要に応じて軌道修正するだけです。

過渡期をうまく過ごす鍵は新しいものと古いものをリンクさせること、方向と目標をはっきりさせることです。
たとえ不完全であっても、進むべき方向と、この先に何らかの到達点があることが分かれば前進しやすいのです。

過渡期に必要とされているものと実際に与えられるもの

次の三つの基本的な事柄が変化の中に居る人びとの助けになります。

  • 共感:誰かが耳を傾けてくれる。あなたの感情や考えを評価や判断を交えずに自由に表現させてくれる
  • 情報:起こった事柄の知的理解。私は何に固執しているのか。私の喪失感とは何なのか
  • アイディア:行動、選択、計画のための提案

重要な点は、人からのアイディアや提案を考慮する前に、感情的ニーズと知的ニーズが満たされていることです。
人は行動に移る前に自分の感情や考えを十分に働かせたいと願っています。

残念ながら、実際にはそうした準備が出来ていないうちに行動を強いられることが多すぎるのです。
一足飛びに新生期に移行しようとして、変化しようとする人は望んでいないものを得ることになります。

  • 指示的行為:提案・仕事・命令。善意からのことが多く理に叶ってもいますが、支配的です。
  • 回避:相手にしないし耳も貸しません。
  • イケイケ:問題を無視してエンジン全開で前進しようとします。

変化を自分のものとして受け入れる――新生期

新生期に入る前に、組織は信頼関係を築かなければなりません。信頼関係が無ければ新生期は愚行と偽善の水準に止まります。
信頼を築く最も効果的な方法は、新生期に先立つ局面――終結期と過渡期――をもっと大切にすることです。

組織は社員よりも早くから変化を考え始めます。その結果、変化を推進しようとする組織と変化に批判的な社員との間に摩擦が生じます。
組織は終結期や過渡期の必要性を認識出来ず、そういう社員に対してモチベーションが低いとかトラブルメーカーで有ると言ったレッテルを貼ります。

真の新生期を迎えるには、社員の間に変化の全体を自分のものとして担っていく主体的責任感が無ければなりません。このような主体的責任感は過渡期の道のりを十分に歩んだ後で初めて産まれてきます。

しかし、組織の中では全ての社員が同じ過渡期の位置にあるわけではありません。
また変化は単一ではなく、組織は連続して起こるさまざまな変化の中に有ります。
多くの管理者が新生期の土台と考えるもの――目標・計画・動機付け――は押し付けになりがちです。
むしろ、新生期は、特に初期段階では、ビジョンやコミットメント、目標への結集と言った「引き寄せる」行為の上に築かれなければなりません。

過渡期を省いて新生期に飛び込むと終結期に逆戻りする

変化する環境で行うべきことは何かと尋ねると、組織化・計画・会議・社員を動かす・やる気を起こさせる・社員教育….と言った事柄が挙がります。
変化モデルに当てはめれば、これらの事柄の70~80パーセントは新生期の活動であることが分かります。
個人も組織も過渡期を省いて新生期に飛びつく傾向が有ることに気付きます。

終結期と過渡期をなおざりにすると、終結期の傷み(感情的な度を超えた手荷物)が舞い戻ってきてうるさく付きまとうことになります。

管理職も社員も一緒に働いている人びとの感情だけでなく自分自身の感情も理解しなければなりません。
終結期と過渡期を通過し、新生期に至るためには対人関係のスキルが必要です。

喪失が起こるとき、受容という最終段階に至るためには幾つかの基本的な段階――否定・失意・怒り・自分との駆け引き――を通過しなければなりません。
このプロセスが悲しみや怒りや否定で身動き出来なくなることを防ぎます。

終結期と過渡期を飛び越して新生期へジャンプすることは誤りです。
知的にはそう出来ても感情的には終結期に後戻りしてしまいます。

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