[新版]アフターショック―――変化の時代の「痛み」を解決する知恵
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「アフターショック 第2章 組織はいかに成長するか」のまとめです。

変化に遭遇したとき、次の二つの疑問が浮かびます。

  1. 何が起こったのか
  2. どうしたらよいのか

私たちは第一の疑問をないがしろにしたままで第二の疑問に飛びついてしまいます。
ビジネスの世界では、変化の中でも生産性を維持するための迅速な対応が期待されるからです。

一歩退いて「何が起こったのか」を見てみましょう。
この問いは二つの部分には分けられます。

  1. 会社の組織的な面で何が起こったのか
  2. 個々の従業員に何が起こったのか

組織はいかに変化するか

ここでは、ジョージ・ランドの「成長曲線」から、変化に遭遇している会社を大きな成長の流れから見てみます。

形成期――組織が誕生するまで

形成期は、組織が自らのアイデンティティとパターンを模索する期間です。
形成期に部門や組織や個人の成すべきことは、生き残るための実際に有効なパターンを発明または発見することです。
この事業が上手く行くのかどうかという緊張と不安から、人びとは秩序と安定を望み、組織化され予想の立てやすい状況に発展したいと考えます。

こう言う会社で働くことは、積極的にはワクワクする、力に溢れた体験です。否定的には心配の緊張の続く不安定な体験でもあります。

この段階では失敗が認められ、失敗を犯してもその時は誰も失敗と感じません。上手く行かなくても良い勉強になったと言うことで済んでしまいます。
ここでは革新は必須です。いろいろなアイディアには手応えがあり皆に歓迎されます。

この局面での目標は、やり遂げること、成功すること、成長すること、見通しを付けて安定を生み出すこと、すなわち不利なものを全て排除し、有利なものを全て見つけだすことです。要するに形成期の目標は定常期に達することです。

定常期――安定と発展

定常期は、堅実な成長の時期であり、システムを微調整する時期でもあります。
ビジネスのやり方に一定のパターンが出来、実際にうまく働いています。組織化が進み、熟練が強調されるようになります。
マネジメントの階層化が進み、管理が隅々まで行き渡るようになります。市場への関心が以前より低くなる時期でもあります。

こう言う会社で働くことは、積極的には将来性があり、安心出来、高収入を味わう体験です。否定的には退屈で、政治的駆け引きが多く、管理された面白みのない仕事でもあります。
形成期の働き方が身に染み込んでいる人の中には、型に嵌まりきった仕事に魅力を感じられず、辞める人も居ます。

この局面では、失敗すると明らかに皆の機嫌を損ねることになります。失敗を避けるためにリスクを負わない。誰もが成功することにしか手を出さなくなります。
革新は、口先では持て囃されますが、暗黙のうちに片隅に追いやられます。革新には活躍の場がありません。
革新は、研究部門などに任され、それ以外に人びとは現在のシステムを動かすだけで、革新に手を出すのは御法度になります。

この局面では、市場第一主義は薄れ、自分たちが築いてきたシステムを気にかけるようになります。
市場が変化しても築いて来たものを変えたくないので気付かないふりをします。
この局面の目標は、増大を続ける安定成長を楽しむこと、恒久的な現状維持です。

安定期・後期――変化の兆し

いずれ事態は変化し始め、業績が横ばいになります。これまで確実だったやり方や手順が通用しなくなります。
マーケットシェアを失い、責任追及、一時凌ぎの試みや業務提携が始まります。
安定期・後期に差し掛かった会社の典型的な対応策は、「基本に戻れ」「何もするな」「再構築せよ」の三つです。

基本に戻れ

ここで人びとの頭に有るのは「踏みとどまって頑張る」ことです。
自分たちのシステムがもはや時代遅れであると捉えることが出来ません。
組織を変更し、経費を削減し、規模を縮小し、成長曲線が再び上昇に転じることを願っています。

何もするな

変化を認めようとしない会社は何の対策も講じません。

再構築せよ

自分たちのビジネスとは何か、革新とは何か、リスクを負うとは何か、と言った問いを自らに向けながら、形成期の基本的な活動に戻る会社もあります。

変化は混乱と痛みであると多くの人が思い込んでいますが、変化とは再生と満足の同義語にもなり得ます。
成長曲線の横ばいは単に変化の正常なパターンを体験しているに過ぎません。
混乱か再生か、痛みか満足か、組織は自らの行動によって統合期に向かいます。

統合期――新たな決断と革新

統合期は、会社が新たな決断を行う時期です。
不確実性の中で新たな成長と再生を計画する必要が生まれたときに統合期は始まります。

この局面で行うべき行動は、自分たちの築いてきたシステムを再検討し、時代遅れの業務規定を排除し、革新を断行し、リスクを負うことです。
それは形成期の行動を多くをもう一度拾い出してみることです。その際の業務の進め方や管理のあり方は、安定期に培われてきた方法が使われます。

安定期から統合期への居心地の悪い移行期を乗り切る賢明な方法は、出来るだけ早くから変化に対応する準備を始め、新しいやり方や市場の確保を推し進め、出来るだけたくさんのことに手を付け、それを少なくとも安定期・末期以前に始めることです。古いシステムが段階的に後退していくのと同時に、新しいシステムが既にスタートしている状態が望まれます。

成長曲線は非常に複雑な現象を単純に表したものであり、実際には人びとは変化を一つの大きな成長曲線と言うより連続する小さな成長曲線として経験します。
もちろん、小さな変化のパターンと同時に全体としてのパターンもあり、人も会社も全体として形成期・定常期・統合期のいずれかに位置しているとも言えます。

このような会社の変化が個人にもたらす影響の問題を考えるにあたり、二つのことをする必要があります。

  1. 変化に遭遇したときの人びとの反応を分析する
  2. その反応を理解するためのモデルを知る